沖田先生には、週に一度しか会うことが出来ない。

だから、こうやって早く予備校に来て、質問を口実に先生に会いに来る。


先生の担当教科は、数学。

数学が飛びぬけて苦手な私は、いろんな意味で、先生からよく可愛がられていた。



「ここ、分かんないです」



私は適当に、ふせんがはってある問題を指差す。

実際、もうどんな問題だったか忘れてしまった。


先生は問題を読むなり、すらすらと答えていく。



「みーおー!!俺を泣かす気か?これ、この前やっただろ?」



そう言う先生は、極上の笑顔。



私、知ってるよ。


先生が、とっても優しいこと。

生徒をとても大事に思っていること。



そして



頑張る生徒が好きなこと。