「沖田先生!!!」
私はとびっきりの笑顔で、予備校へ飛び込んだ。
先生は入り口の壁に、お知らせの紙を貼っていた。
私の声に振り返ると、爽やかな笑顔で迎えてくれた。
「おー!美央じゃん!待ってた!」
待ってた、だって。
そんなこと言っちゃだめだよ、先生。
もっと好きになっちゃう。
先生は私のドキドキに気付いているのかいないのか、話を続けた。
「美央は勉強熱心で、俺嬉しいよ!」
「ううん。勉強熱心じゃないよ。先生に会いたかっただけ!」
分かってる。
こんなことを言っても、先生は相手にしてくれない。
「まぁーたかわいいこと言って! で、今日は質問ある?」
ほらね。
話、変えられちゃった。
それでも好きだから、しょうがないの。
私は、かばんから付箋だらけのテキストを取り出した。