私は、顔を上げた。

目の前には、本当に心配そうな顔をして立っている先生がいた。



「せんせぇ~……」



今度は、嬉し泣き。

私の顔を見ると、先生は少しホッとしたようで、顔の表情を緩めた。



「ったく、美央は泣き虫なんだからぁ……」



そう言って、先生は温かい指で私の涙を拭った。

その先生の行動に驚きながらも、止まらない涙。


そんな私を見て、先生はふっと笑いながら、私の隣の席に座った。

先生ってば、座り方までかっこいい。


そして、上目遣いで私を見ながら、私の大好きな『どうした?』をくれた。



「俺のこと、もっと頼っていいんだぜ? それとも、俺をただの数学教師だと思ってる?」



私は、ぶんぶんと首を横に振った。

すると、先生は私の頭に手を置き、優しく撫でてくれた。



「ゆっくりでいいから……」



頭に置かれた手と先生の言葉が、大きくて、優しくて、ホッとした。