最後の電車を降りるとそこは。

閑静な住宅街。

可奈の住む町。


手紙の住所と地図を頼りに家と家の間を歩く。

ふう。

汗ばむ。

暑さのせいだけじゃない気がする。


不安が大きくなる。


だめだめ。

息を吸って前を向く。

手に持った手紙が "頑張れ" って言ってくれてるみたい。





あ、

あった。

表札の文字は「上村」

可奈の苗字だ。

うん。

ここだ。


可奈、会ってくれるかな。

話聞いてくれるかな。


"Under the Tree"の歌詞を思い出す。

きっと、大丈夫。


自分に言い聞かせて足を踏み出そうとしたそのとき。