休み時間。

「佐原さん、ちょっといいかな?」

読者していたら、声をかけられた。

クラスの中心人物のグループのリダー的な存在の子だ。

名前は…何だったけ?

「どうしたの?」

開いていたページにしおりをはさんで答えた。

こんな私に声をかけるなんてどうたのだろうか。

「ちょっと放課後、教室に残っててくれない?」

「ごめんなさい、放課後は用事があるから」

私は出来るだけ相手を怒らせない言葉を選ぶ。

「…そっかぁ〜。わかった。ごめんね、時間取らせて」

「いいよ、別に」

「…ちっ」

…そういう事か。

なんとなく、分かってしまった。

彼女達は私に何らかの恨みを抱いている。

理由はわからないけど、私に関するなにかが怒るのは間違いない。

彼女達なら、やりかねない。




やはり、予想通りだった。

私の靴箱にはローファーの代わりに、たくさんのゴミがあった。

何処かから、クスクスと笑い声が聞こえる。

「…面倒くさっ」

私は正直、やられっぱなしは好きじゃない。

だから、理性を保つのに苦労する。

「落ち着け…落ち着け…すぅ…はぁ…すぅ…はぁ…」

今は、靴を探して、約束を守るのが、大事。

靴は意外と簡単に見つかった。

服は少し汚れてしまった。

ーー約束なんて、断ってしまおうか?

いや、だめだ。

私は、きっと、華山先輩のことしか、頭に浮かんでない。


女子達の罵倒を無視して、私は走った。