「あれ、髪切ったんだ」

圭佑はあたしの頭をくしゃっとなでる

寒がりらしく、
一足先に学ランを着た圭佑は
不思議と暑苦しくなく、
秋の気配を感じる程だった。


「うん、あたし似合わないでしょ、長いの。」


「化粧も、薄くなったね。」


「めんどくさくて」


「かわいいじゃん、」

「え」
「中学生みたいで」
「…」
「あはは」



ふと廊下を見ると、
甘い香りが漂った。

「圭佑っ」

隣のクラスの綾川さんだ。
モデル顔負けのスタイルに
白い肌、
大きな目、

ちなみに圭佑の彼女。
2日ぐらい前から。



綾川さんは教室に入ってきて、
圭佑にぴたっとくっつく。

そして
「誰?」とあたしの方を敵意むきだしで見つめてきた。



「この子、秋崎。」

圭佑の簡潔すぎる説明では
どうにもこうにも。