圭佑に会ったのは、
二年前のことになる。


高校を入学、
新しいクラスに初めて足を踏み入れた時だった。



圭佑は、ただうつ伏せて、
世の中全部を憂いでるように見えた。

あたしは根っからの性格で
そんな人を見ると放っておけなくなる。
というか笑わせたくなるのだ。



「はいっ」

あたしは圭佑の目の前に
ずん、とメロンパンを置いた。


不思議そうな目であたしを見上げる圭佑を無視しつつ、
「おいしいよ、それ!
なんせ中身白あんだからね」
とメロンパンを押し付けた。



変なやつだって思われてもよくて、
ただその目が寂し過ぎたから。



次の日も、
その次の日もあたしは圭佑にメロンパンを差し出した。

毎日メロンパンなのは、
印象付けて覚えてほしかったからなんだけど、
圭佑が今でもメロンパンをよく買ってるのは知ってる。
それがたまらなく嬉しかったりするんだ。