「わたしは、行かないわ」 君は、首を横に振った。そして、悪戯っぽく笑う。 「だって、わたしのこと、離してくれないのよね?」 堰を切ったように、追憶が溢れ出す。 幼いあの日、お城に招待された僕が、初めて君と出会った時。 果敢で、美しいと、子ども心に思った。 異性として意識し始めたのは、それから数年後のこと。 君のお父様が病気で亡くなった時。 いつもの強気な君が、ひどく悲しんでいて、どうしても守らなきゃと思った。