『アメリカにお母さんたちが行くのは分かった。でもどうして、あたしと凪が同棲しなくちゃならないわけ』


あたしは若干怒り口調で言った。


『だって喜一君がお願いしてきたんだもん♪』


だもんって…
あなた何歳だよ…


っていうか!

喜一さんがお願いしてきた?!


『どうゆうこ…』

『俺のためだってよ』


『…え?』



今まで黙ってた凪が、あたしの言葉にかぶさって口をはさんだ。


『父さん仕事忙しいから、いつも俺一人が家事とかしてるから…』


『郁とか類は??』


そうだよ。
凪には兄弟がいるもん。
ひとりじゃなくない


『知らなかったのか?郁兄は結婚したから新居に住んでるし、類は母さんと住むことになったんだ』



『え…』


知らないよ

そんな。


凪のお母さんは今実家に帰ってる。
離婚したわけじゃなく、凪のおばあちゃんにあたる人の看病があるとか。

『…本当に一人なんだ…』

『まぁな』


凪はそっけない返事を返す。



『ね?だからお願いよぉ~!大分長い同棲になるだろうけどさ…』



あたしはお母さんに根負けした。

当然凪が一人ぼっちでかわいそうっていうのもある



『…分かったよ』


あたしがぶっきらぼうにそう答えると、お母さんは目を輝かせた。