視線はテレビを見ているそのままで、凪が問いかける。

「蜜羽さぁ、なんでそこまで変装するワケ?」

「…?話してなかったけ?正体かくすためって…」

「だから…なんで」

「…それはねー…」


あたしが、普段ダサいかっこうをしているのにはれっきとした理由がある。

凪には正体をかくすため、とあいまいな事を言っているけど、こまかくいうと、『片瀬 蜜羽だと気付かれないため』なんだ。

株式会社[KATASE]は、あたしが言うのも何だけど、大分有名で大きな会社。

食品分野を始め、おもちゃにも力を入れてる。

当然他の会社から、ねたまれるワケで。

小さい頃に何度かゆうかいされかけた。

それを阻止するため、顔を公にしてしまっているあたしは、地味なかっこうで変装してるってワケ。



全てを凪に言い終えた時、凪は複雑そうな顔をしていた。