-菜々side

『てか私家こっちじゃないよ?』「何言ってんの家こっちじゃん」と強気の奏汰。いやこっち…まさか…

ドーン)でかい家。正門の横に"一宮"と達筆で書いてある。ここは…実家だ…。

「おかえりなさいませ!奏汰さん!」「そちらの女性はお客人で?」と組員が言う。

「何言ってんのお前ら」そう言って菜々のウィッグを取る。「どう見たって俺の双子の妹…菜々だろ」『ちょっと勝手に取らないでよ』ぼさぼさだあ…

「「「な…菜々様ああ!!!!!!!!!」」」と叫ぶ組員。

「ほ、本物ですか!?」「ずっと探してたんですよ?!」「おかえりなさいませえ…ズヒッ」と色々言葉が飛んで来る。

「お、おかえり2人とも」と翼が出てくる。

『ただいま?』「ただいま」と翼に伝え家に入る。

懐かしい。何も変わってない。"菜々!"玄関に入ればそう呼んで駆けてくる母はもういない。

リビングに行けば"愛しの菜々〜待ってたよ"と手をひろげて待つ父の姿もない。

菜々はリビングでしゃがみこんだ。「「菜々!?」」二人は駆け寄る。

『…うぅ…お母さ…ん、お父さ……ん…』涙を流す。『あの日私は何も出来なかった…助けられて…』「それは俺も一緒だ!おまえだけじゃない!!!!!!!!!」

「…菜々。お前に一体何があったんだ…俺らに教えてくれないか?」と、翼は菜々に聞く。

菜々は黙ったまま。何も答えない。

「…とりあえずご飯でも食べようか」そう言って席につく。

ごめんなさい。つー兄、奏兄。まだ言えない。弱くてごめんね。