雪が降る夏





「なんだよ……」



着信相手の名前を見ると、先程連絡をしてきていた妃依からだった。






「……。」






僕は通話ボタンを押すことなく携帯を閉じる。


しばらくするとバイブ音は止む。





さて、寝ようか、と瞼を閉じた瞬間に再びバイブが動く。




「しつこいな……。」




また無視すればいいか、と思った瞬間に通知が来る。







《気づいてるんでしょ?無視しないで。この電話に出なかったらおばさんにお願いしてハルの部屋まで迎えに行くからね!》







こいつエスパーかよ…。



こいつなら本当に部屋の中まで入ってきそうだ……。




僕はしぶしぶ表示されている通話ボタンを押した。