あれから一年。雲ひとつない晴天のこの日、私たちは結婚式を挙げる。


私の家族、友人、春人のご家族、ご友人。今まで関わってくれた人たちを招いての式だ。


ずっと憧れだった純白のウェディングドレスを身に纏い、隣にはタキシードを着た春人が立っている。私の手にはブーケ。たくさんの人が作り出す道の真ん中を私たちは歩く。


「藍、春人さん!本当におめでとう!藍すっごく綺麗だよ!」


目に涙を浮かべた充希。中学の時からの親友で、私のいいところもダメなところも何でも正直に言ってくれた。春人とのことで私を正しい方向へと導いてくれた。かけがえのない存在だ。


「よかったな。ずっと幸せでいろよ」


初めての彼氏だった河西くん。私に元気と安らぎを与えてくれた大切な友達。河西くんは今では高校の女子サッカー部だった高橋さんと付き合っていて、とても幸せそうなんだ。


「…見違えたわね」


南さん。春人の元カノ。昔は色々あったけれど、今ではたまに相談に乗ったりしてくれるお姉さんのような存在だ。棘のある言葉は相変わらずだけどね。


「竹内!ちゃんと幸せにしてあげろよ!」


「当たり前だろ」


春人の親友の木下さん。私が深く関わったことはないけれど、私の知らないところで春人と深い絆が築かれていたに違いない。


「…よかったな。おめでとう」


山下さん。一時期私たちの仲を取り壊そうとした厄介な人だった。でも最終的には私たちを応援してくれた。春人も彼には色々感謝しているようだ。



「藍…大きくなったわね」


「春人くんに幸せにしてもらいなさい」


お母さん、お父さん、まだまだ立派な人間じゃないけれど、奥さんになれました。一人娘の私を大切に育ててくれてありがとう。


「藍ちゃん本当に綺麗!二人が一緒になってくれて本当に嬉しいわ!」


「春人には勿体無いくらいの美人さんになったな」


春人ママ、春人パパ。私が生まれた時から面倒を見てくれた人たち。昔から私を本当の娘のように可愛がってくれた、第二の故郷のような場所だ。



「みんなー!ブーケ投げるよー!」


後ろを向き、両手でブーケを高々と投げた。これを取った人が次に幸せを掴んでくれますように…






「藍、子供何人欲しい?」


「え?んー、そうだなぁ。男の子と女の子、一人ずつ欲しいかも」


「うん、俺も一緒」


大好きな人たちに囲まれて行われた結婚式。これから増える家族との幸せな未来を思い浮かべながら、どちらかともなくキスをした。



春人…


ずっとずっと、一緒にいようね。




【完】


※その後の『おまけ』更新予定