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婚約指輪を受け取って早数年。私は無事に大学を卒業した。それと同時に私たちは入籍し、めでたく夫婦となった。
卒業後、私は都内の広告代理店に就職し、現在は春兄…いや、春人と新婚生活を送っている。
私が新社会人であることから式を挙げる余裕がなく、話し合った結果、もう少し落ち着いてからゆっくり考えようという結論に至った。
「竹内さん!先方にメール送っておいて!」
「は、はい!!」
当然のことながら、結婚したため名字が"竹内"になった。"竹内"と呼ばれて振り向くのにどれだけ時間がかかったことか。
大学時代のレポート作成でブラインドタッチができるようになり、メールの文章を打つなんてなんのその。
こじんまりとした社内、皆わきあいあいと業務をこなしていく。まったりとした雰囲気がとても働きやすい。
「そういえば竹内さんって新婚さんだったわよね?お子さんの予定とかはないの?」
隣のデスクでパソコンを操作している先輩社員の岡田さんが目を画面からこちらに向けてそう言う。
「え、こ、子供ですか?」
春人と結婚して子供の話になったことはなかった。いずれはと思うけれど、授かるのはタイミングだし、お互いのペースもあるし…今はまだ何も考えられないかも。
「やっぱり新婚のうちは二人でいちゃいちゃライフを送りたい!みたいな感じ?」
「いやそんないちゃいちゃだなんて!」
「そんな必死に否定しなくてもいいのに〜」
いちゃいちゃ…か。正直、一緒に住んでいるわけだから、そう言うことは何度かある。だけど毎回避妊してくれてるから、もしかしたら春人も子供はまだいいのかもしれない。
でも…実際のところどうなんだろう。
「今日、ちょっと話してみます」
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