豪勢な夕食を食べ終え再び温泉に入った後、部屋に戻り布団を並べる。『一緒の布団で寝る?』なんて悪戯っぽく言う春兄の胸を軽く叩き、布団に潜り込んだ。


すると春兄は掛けていた布団を剥がし、私の頬をむにゅっとつねる。


「もう寝るの?」


「うぅ…満腹だし温泉入ったし眠くなっちゃったもん」


そう言うと、寝ている私の隣で横になり、唇にキスを落とす。浴衣からチラッと見える鎖骨と胸筋にドキッとした。


「俺、まだ藍が足りないよ」


「春兄…」


春兄が私を求めてくる時、いつもこんな艶やかな瞳で見つめる。そんな目をされたら嫌だなんて言えないよ。





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綺麗に敷いたシーツもあっという間に乱れた。せっかく綺麗に着れた浴衣も剥がれ、私たちは天井を見つめる。


「…指輪、ずっとしてくれてるんだな」


私の手を持ち薬指で輝く指輪をじっと見る。これを貰ってから外したことは一度もない。これがあるだけで、春兄が守ってくれているような、そんな気がするんだ。


「当たり前だよ。すっごい大事なものだもん。そういう春兄だって指輪してるじゃん」


同じように春兄の手をとった。ゴツゴツした男らしい指でキラリと光っている。


「まぁな。大事なものだし」


「ふふっ。同じだね」


「そうだな」


布団の中で笑い合った。こんな幸せがいつまでもずっと続けばいいのに。



…そう思っていた。