「わー!広ーい!!」


男湯女湯と混浴スペースでは温泉の種類が違うようで、まずはそれぞれのスペースで楽しんでから混浴で合流することになった。


敷地が広く、天然温泉やジェット風呂など一般的なものから、3メートルほどの湯滝や美肌効果に期待できる泥湯温泉などユニークなものまで様々だ。


「春兄も楽しんでるかな〜」


天然温泉にちゃぷんと浸かり、目の前に広がる景色を楽しんだ。ツンと冷たい風と熱々のお湯の組み合わせがなんとも気持ちいい。


はーっと吐く息は白く、立つ湯気もより一層白く見える。結構気温低いんだな〜。


湯滝のざざーっと水に打ちつける音と、風が木の葉を撫でる音がリズミカルで、もし今眠気があったら即寝てしまいそうだ。



4種類の温泉を楽しんで女湯を出る。ロビーに向かうと既に春兄が待っていた。


「ごめんごめん!待たせちゃった?」


「いや?俺も今来たところだよ」


初めての混浴、ドキドキするな。タオル着用はOKといえど、一緒にお風呂に入るという行為自体に照れが生じる。



私たち以外にもカップルで入浴している人たちが大勢いる。密着しながら言葉を交わすカップルを横目に、春兄の後に続くように足を進める。


す、凄い…公共の場なのに堂々としていて凄い。


「藍、何だか縮こまってない?」


「え、そ、そう?」


そりゃ目の前でいちゃいちゃ繰り広げられたらギョッとするよ!!





混浴スペースの天然温泉は、女湯の天然温泉とは真逆の場所にあるため、見える景色も全く違い絶景を楽しむのもここの温泉の醍醐味だ。


肩を並べて湯に浸かる。触れそうで触れない微妙な距離にドキドキしているのは私だけかな。