相変わらずシンプルな部屋だ。


前に来た時と比べて変わったことと言えば、洗濯物の部屋干しの量が多いだけ。


春兄に促され、シャワーを浴びて来た私は緊張した面持ちでベッドの端にちょこんと座る。借りた春兄のパーカーは私にはぶかぶかで、腕を揺すってぶらぶらと動く袖の様子を無感情に見つめる。


「私、今度こそここで春兄と…」


あぁダメだ、余計なこと考えたらダメだ!!時の流れに身を任せるんだ!!


色々考えているうちに浴室の扉が開く音がした。その音に過剰に反応してしまう。



何だか恥ずかしくて顔を上げることができない。



「藍」


ゆっくりと私の隣に腰を下ろすのが分かる。ぎゅっと目を瞑った。


春兄は私の髪を撫で、その手を頬に添える。ようやく私の目は開かれ、春兄の方へと移した。


春兄のこの艶やかな眼差しを見るのは何度目だろう。



近づく顔、触れる唇。お互い熱を持ったそれが重なった…-----








「はる…にぃ」


「春兄?違うだろ?」




激しい痛みは一瞬だった。優しくしようとしてくれた春兄だけれど、緊張で固まった私はなかなか春兄を受け入れることができず、私のことは気にせず春兄の力で入って来てもらった。


繋がった喜びと感じたことのないような感覚に頭の中は真っ白になり、いつの間にか羞恥心はなくなっていた。


「はる…と」


「そう、正解」


春兄は意地悪だ。余裕のない私を笑っているかのよう。でも、私に触れる手は優しくて温かい。



「大好き、春人」


「俺は…







愛してるよ、藍」





強く強く、抱きしめあった。