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12月24日。クリスマスイブ。春兄とのクリスマスデートを翌日に控えた今日。充希とスイーツの食べ放題に来ていた。
一口サイズの食べやすいケーキが数十種類並び、甘いものの他にスープやパスタなどご飯ものも多い。
「いや〜でぶ活最高だね」
「充希は食べきれないくせに盛りすぎだって」
一回でそんなに取ってくるのか!?というくらいの量がお皿に乗っている。対して私のお皿には、ケーキが4つ。そしてもう片方のお皿にパスタを盛り付けた。
「あんたはスイーツメインのお店なのにご飯ものの方が多すぎる」
「あとスープ取ってくる!」
お皿をテーブルに置き、座る充希に一声掛けてスープを取りに行った。
私の大好きな中華スープ。スプーンも持ってテーブルに戻る。
「んじゃ、聖なる夜に乾杯〜!明日だけどね〜!」
充希らしい適当な音頭を合図に食べ始める。
話題は私の明日のクリスマスデートについて。
「クリスマスデートってさ、泊まり?」
当日の詳しい予定とかは聞いていない。春兄のことだから、何かしら計画は立ててそう…とは思ったけれど、『藍は来るだけでいいから』と何も教えてくれなかった。
「多分泊まりではないと思うよ?」
「ふ〜ん…ま、どうなるかはわかんないけどね」
意味深な発言が引っかかる。
「え、何が?どういうこと?」
すると充希はケーキ3つを立て続けにパクリと口に運んだ。それが飲み込まれる瞬間を待つ。
「クリスマスに何もしないで終わるわけないってこと。だから私は予言するわよ?あんたのロストバージンは明日!」
「なっ!!!」
場所も場所だし充希も充希だ。それに、その件については解決したというか、不安に思う要素も取り除かれたのだ。
「春兄は、私のペースに合わせてくれるって言ったもん」
あの時の春兄の甘い声と真剣な眼差しを思い出し、頬に熱を感じる。春兄の言うことは絶対だし、本当に心から私を大切にしてくれているって実感した。
だから、いくらクリスマスと言えど、そういう雰囲気には…
「あんたがその気になるかもしれないでしょ?もしそうなったら、春人さんは絶対手出して来るわ」
「ま、まだなんないもん!!」
自分ではそう言うが、実際にそんな雰囲気になってしまったらどうしようと思う私もどこかにいて。相手が春兄なら…って思うけれど、まさか自分に"アレ"をする時が来るなんて。
あー!!雑誌のあんな記事読むんじゃなかった!!余計に意識しちゃうもん!!
「ま、報告待ってるわよ〜」
"その時"の心得など、本人はアドバイスとして言伝してくれているだろうが、今の私の頭には恥ずかしさで血が上りすぎて、そんなものを受け止めている脳の余裕がなかった。
私は明日、どうなるのだろうか…