彼女が小説を書かなくなって二週間。
あんなに小説を好んでいた彼女が何故こんなにも小説を怯えるようになったのか、私は不思議で仕方なかった。
でもそれを問い詰めることなんかできやしなかった。だって、こんなにも怯える彼女は初めてだったから。
少し苛立ったりもしたが、それよりも先に心配の方が勝っていた。
そして、私には二つの疑問が思い浮かんだ。





何故、急にあんなに怯え出したのか。




何故、目の前の彼女はこんなにも























傷だらけなのだろうか










怯えるのは何かとてつもなく嫌な事があったからだとは分かるけど、何故彼女はこんなにも傷だらけなのかが私には分からなかった。
顔には傷は無い。
けれど腕や脚を見ると痛々しい程の深い傷が見つかった。
そして、流石に心配になったので声をかけて見るが返ってくるのはいつも同じこの言葉。






「ねぇ、私のノート知らない?良く見てたでしょ。ほらあれだよあれ、小説を書いてたノートだよ。まさか知らないとは言わないよねぇ?だって持ってるんでしょ、私のノートをさ。」





初めは冗談かと思った。
だってそのノートは私が絵を描くのに使っていたノートだったからだ。
それなのに彼女は自分の小説ノートだと言い張るのだ。
もちろんそれは私のノートだと言った。
けれど返ってくるのはさっきと同じで、一言一句と変わらない言葉。


















「ねぇ、私のノート知らない?良く見てたでしょ。ほらあれだよあれ、小説を書いてたノートだよ。まさか知らないとは言わないよねぇ?だって持ってるんでしょ、私のノートをさ。」