ーーー
お昼休み、いつものように屋上でご飯を食べているが雰囲気が悪い。
………昴が不機嫌オーラを凄く出している。
そしてその原因は間違いなく私。
だからこの雰囲気は私のせいだ。
「………なに、この雰囲気」
この中で一番おしゃべりな佑が口を開いた。
「わかんない。昴、なんかあったの?」
続けて陸が言う。
「………別に」
別にという態度ではないだろう……
それに、やっぱりみんな昴のオーラのせいだとわかっている。
その原因が私だとは知らないと思うが……
「ごめんね陽葵ちゃん」
ああやめて。
謝るのは私なのに。
なんだかみんなに申し訳なくなり、私はフェンスに寄りかかっている昴の前に立った。
「陽葵ちゃん?」
私より30センチは絶対高い昴を見上げる。
デカイな……
そして目つきが悪いから迫力がすごい。
私は手にぐっと力を入れて小声で言った。
「………気分を悪くしたなら謝るけど、そんなあからさまに態度に出されると……」
えっと……その………
どうしよう、なんて言ったらいいんだろう。
「………った」
困っていると、昴の口が開いた。
「え?」
「………悪かった。」
そして、そう言って私の頭をぐしゃっと撫でた。
「ちょっとむかついただけだ。
裏切る裏切らないなんてまだわからないのに、そうやって言うお前にむかついた」
………ごめんなさい。
「………でも、言ったことは本当だよ。
私はいつでも……」
「うるせぇな」
「………っ!?」
私が喋ってる途中に、昴はそう言うと私の頭に手を回し、唇に自分のそれを押し当てた。
「えっ、昴?」
「………まじか」
「………何事」
後ろにいるみんなが声を上げる。
え、何。
どうなってるの今。
わかんない、状況がわからない。
「………はっ……」
「ふっ、ヘタクソ」
離れた唇から私はめいいっぱい息を吸い込む。
それに笑う昴。
なんなんだ……
「その考え、俺らが変えてやる」
そしてそう得意げに言うと、昴は屋上を出ていった。
なに、わかんない。


