今日は早かったから誰もいない学校を少し気味悪く感じる。
私の足音だけが廊下に響く。
すると、窓の外を眺める人影を見つけた。
……誰だろう?
そっとそれに近づくと、私の知ってる人だと気づく。
「………昴」
私の呟いた言葉は廊下によく響き、昴が振り向く。
「………おはよ」
「おはよ」
昴の方へ近づいて私も窓の外を見ると、バッチリ校庭が見える。
あー………もしかして、見られてたかな?
車から降りる所。
「………やっぱりお前、天霧組の関係者だろ」
やっぱり見られてたか。
そこの娘です。なんて言えない。
「………根拠は?」
「………黒塗りの車。苗字。その容姿」
「そんな少ない理由じゃわかんないよ」
「……天霧組の娘は黒髪に白い肌、身長は低めだ。」
どこ情報よ……
「そんな子はたくさんいるよ」
「………なんで嘘をつく」
鋭いし、しつこい。
「…………私、あなたたちと深く関わるつもりは無いから。だからそっちも深く関わってこないで」
自分から友達になりたいとか言って矛盾してる、とは思う。
けど私にとってここはただの与えられた場所。
そこからほかの場所まで広がろうとは思っていない。
「陽葵……」
「………私は、いつでも裏切れる。
だから最初から裏切る裏切らないの関係にならないほうがいい。
友達で、充分」
私はそう言って昴を置いて教室に行った。
あーあ。私、性格悪。


