ゆっくりゆっくりと、学校へ向い歩いていると、ブロロロ……とバイクの音が後ろからした。
ここら辺バイクで通る人いるんだ。
この道を歩いていて初めてだ。
するとそのバイクは、私の横でピタリと止まった。
………え?
バイクに、乗っている人を見ると…
「あ……」
桐月さん……。
「久しぶり」
「どうも」
この人は相変わらず目つきが悪い。
「乗ってけば?」
そしてその目でバイクの後ろを指す。
「あ、いえ。大丈夫です…」
それに私は首を横に振る。
「……」
そんな私をじっと見ると、急に桐月さんは私の頭を優しく撫でた。
その行動に驚いていると、初めて見る桐月さんの表情を見た。
「もう無理強いはしない。
けど、関わらないつもりは無い」
優しい表情で、そう言ったんだ。
そしてにっと口角をあげるとバイクを走らせて行ってしまった。
………あれ。
………私何にあんなに悩んでたんだっけ?
自分の悩んでいた事さえも明確でなかったことに、今気づいた。
私の大馬鹿者。
もしかしたら、そんなに難しくないのかも。
人間関係。


