昨日初めてあの笑顔を見た時にも思ったが、ああいう人は苦手かもしれない。
笑顔を貼り付けておきながら本当のところ何を思っているかわからない。
だったら憎たらしい笑顔だろうがわかりやすい表情をする人の方が好きだ。
なんて、ぼーっと考えているといつの間にか教室が騒がしくなっていた。
ふと隣に目をやると、その席は空席だった。
……お休み?
と思った瞬間、勢いよく教室の扉が開いた。
ガラッ
そこにはあの黒髪の人がいて、女の子たちの小さな黄色い悲鳴に男の子たちの尊敬に満ちた眼差し。
それが私の隣の席の人と……
その後にいる人達に与えられていた。
金髪に銀髪に明るい茶髪。
このクラス全体とその人達を見比べたら随分落ち着いた色をしている。
「凪、どの子?」
するとその中の明るい茶髪の人が黒髪の人に言う。
「あれ」
そして"ナギ"と呼ばれた黒髪の人は真っ直ぐに私を見て私を指さした。
ん………?
…………私?
私は一応確認として後ろを向いたが、もちろん一番後ろの席の私の後ろには誰もいなくて。
そして前を向くと、教室中の視線と、彼らの視線が私を刺した。


