「乾杯はまだか?」
そして嬉しそうにする私をみて輝はネクタイを緩めながら言う。
「クラッカーは鳴らしてもらったよ」
「じゃ、まだか。
グラスの準備をしてくれ」
輝…………
本当に"頭"なんだな。
と実感するくらい凛としている。
すごく、かっこいいよ。
「昴」
グラスをみんな持ったのを確認すると輝は昴を見た。
「?」
「昴が言え」
「はっ!?」
この2人……
よかったな、本当に。
「俺達が、陽葵が笑っていられるのは昴たちのお陰だ。
お前らが救ってくれた。
だから昴に言ってほしい」
輝はそう言ってみんなをみると、みんなもそうして欲しいというように頷いた。
「ありがとう、昴くん」
明人さんも。
「是非。」
樹さんも。
「早く言えよ」
夏目……言い方。
「ありがとう」
司…。
「昴っ」
私もみんなに便乗して昴を見る。
「……わかったよ」
昴はそう照れくさそうに言うときゅっと口を結んですぐに口を開いた。
「あの時もし、陽葵と出会ってなかったら…そんなことを考えたことなんてないけど。
俺は、俺達はどんな事があっても陽葵と出会っていたと思います。そして、陽葵の笑顔を見ることが出来た。陽葵を救うことが出来たなら……それは俺達の頑張りでも何でもなくて、ここにいる全員のお陰だと俺は思っています。
えーっと、長くなりましたが、乾杯!!」
『乾杯~~!!』
少し下手くそなスピーチも、昴らしくて好き。
今日はどうやら、寝れそうにないな。