「陽葵!!」
「わっ」
本家の屋敷に入り、みんながいるであろう和室に入ると、案の定みんなはいて。
みんなというのは天霧組のみんなに、陽炎のみんな。
そして凪が飛びついてきた。
「おーそいよ!
ほらほら!」
そして私をみんなの真ん中へ案内する。
夏目と司はそれを少し離れたところで笑いながらみてた。
いや、笑い事じゃないし。
こんな、みんなの中心に入っていいのかな私。
「せーのっ」
けれどそんな心配は無用な様で。
『陽葵、おかえりなさい!!!』
みんながクラッカーを鳴らしながらそう叫んだ。
「やっと帰ってきたよね!」
凪。
「ああ、俺らはだいぶ老けたけど」
陸。
「陽葵ちゃんはますます綺麗になったね」
佑。
「………おせーよ」
昴。
みんな………
「ありがとうっ!!」
私は今きっと心から笑っている。
本当に、嬉しいんだ。
みんなとまたこうして会うことができて。
「陽葵」
あ……
「明人さん」
あれから表向きでは明人さんから輝に世代交代したみたいだけど、明人さんはまだまだ現役だ。
この人はきっと、死ぬまで現役なんだろうな。
「ありがとうございます、いろいろ」
そう、私が国を飛び立てたのも全部全部明人さんの計らいからだ。
「ああ。
楽しかったか?」
「はい、とっても。
私はあそこで産まれたんだなぁって……」
「よかった」
そういった明人さんの顔は本当に嬉しそう。
そしてちらりとその後に見えた樹さん。
何も言わないけど笑っていた。
「陽葵、輝ももうすぐ来るから待っててやってくれ」
すると暁さんがそう言ってきた。
珍しい、暁さんと輝が一緒じゃないなんて。
「そりゃ、年中一緒にいるわけじゃない。
俺だってすることはたくさんあるからな」
私の心を読んだように暁さんが言う。
「おかえり、陽葵」
「ありがとうございます」
いつも笑わない暁さんの笑顔を初めて見たんじゃないかってくらい珍しい笑顔。
ガラガラッ
そしてその時、襖が開いた。
「おい、仮にも頭が遅刻か?」
そして襖を開けた人物に暁さんが説教をする。
「遅刻したくてした訳じゃない。
これを買ってたんだ」
そう言って手にしている花を見せる、輝。
「陽葵、おかえり」
そしてそのまま私の前に来るとその花をくれた。
「ありがとう、輝」
きっとこういうの、選ぶの苦手なんだろうなぁ。
だけど私のために選ばれたその花はとても綺麗。