「誰だって失敗はします。

失敗しない人間なんていませんよ。

そんな人間がいたら気持ち悪い。」


そう、誰だって失敗はする。

よく言うでしょ?こんなこと。


そしてその言葉は事実よ。


それに、忘れているかもしれないけど烏丸組は道を外している。

それを思い出して。

烏丸だってもとはそんなことをする人じゃないはず。


「……烏丸組は………」


「わかってる。

……わかってるさ。」



私が言おうとするとそれに被せていう烏丸。



……よかった。

気づいてた。


「………………私、あなたの事許しませんよ」


「ああ、当然だ」


「……でも、幸せにはなって欲しい」


「………………え?」


自分を殺そうとした相手に、幸せになってほしいなんて。

おかしいのは百も承知だ。



だけど………


「烏丸の、幸せで溢れた顔が見てみたい」


私は笑って言った。



そう、私の成長した姿が見てみたいと言ってくれた烏丸。


私も、幸せで満ち溢れた烏丸が見てみたい。



「……ふっ、陽葵は変なやつだな。」


「ありがとうございます。」


烏丸の目から、一筋の涙が流れ落ちた。



「ねぇ、私と一緒に来ませんか?

きっと今までと違う幸せがありますよ」



私なんかがこんな事言っていいのかわからないけど、烏丸に来て欲しい。


私はちらりと明人さんをみると、優しく微笑んで頷いてくれた。


それに笑い返すと烏丸をみる。



「天霧組に、来ませんか?」


「…………俺は、また陽葵を殺そうとするかもしれない」


「大丈夫。私死なないよ」



「……自分でも何をするかわからないんだ」


自分の手を見て言う烏丸。


「……私を結局殺せなかったじゃない。

それに、刺されても私は案外しぶといみたい」


その手を握って言った。


「…………馬鹿だな。どうなっても知らないよ」


烏丸はもう片方の手で自分の顔を覆って言った。


「望むところです」


私は口角をグイッとあげた。