そんなに心配しなくても大丈夫なのに。
今の私、烏丸に負ける気がしない。
勝つ負けるって、なんだよって感じだけど。
「……私の事、殺すつもりなかったでしょ?」
私はまっすぐに烏丸を見ていう。
「…………」
黙る烏丸。
「…………殺せなかった、の方が正しいのかもしれないけど」
「……」
烏丸は黙ったまま。
「あの距離で外すなんてありえない。」
私は構わず自分の心臓の位置を叩いて言う。
そう、あの距離で心臓を外すなんてありえない。
おかしいもの。
「……"つまらない"。
私を刺す前、そう言ってたけど……
今のあなたも相当つまらないですよ?」
「……」
「私のことを叩いていたあなたの方がよっぽど素敵でしたよ」
こんなこと、言う私も相当おかしいな。
だけど、本当にそう思う。
今私の前にいる烏丸はきっと私が刺される時にしていた顔と同じ。
「……私たち、つまんないですね」
烏丸をみて自傷的に笑った。
「俺は…」
すると口を開いた烏丸。
「俺は、…お前の父親が仕事中に死んだせいで計画していた事が全て壊れたことの腹いせでお前を殺そうと決めた。
陽葵の母親はあいつが死んだ時点でもう壊れていて自殺するのは時間の問題だったし俺が直接手を下すことはないと思った。
だけどまだ2歳の陽菜。
母親が殺すか?と少し考えたがあの母親にそこまでの意思はない。
だったら俺が殺すしかない。
だけど、初めて陽葵を見た時。本当に何も知らなくて、幸せ者なんだなと思った。
だから、17になるまで待ってやろうって。
何故かわからないがその時の俺はそう思ったんだよ。
陽葵の成長した姿が見たいって。
だけど生きていたらいつか父親の事、俺のことを知ることになる。
真実を知ってしまう日が来る。
それだけは避けたかった。
失敗した記録なんて残したくなかったんだ。
だから、17。
社会にでると見つけるのに苦労するからな。
17くらいで殺ってしまえばいいだろうと。」
私を刺した烏丸とは思えないほど落ち着いた声で喋る。
「でも、殺せなかった……」
ポツリと最後の言葉らしきものを呟く烏丸。


