「今回の仕事少し長引く。
しばらく帰れない」
「気をつけてね」
「ああ。」
「お父さん……帰ってこないの?」
「すぐ帰ってくるよ」
お父さんとした、最後の会話。
お父さんは私を強く強く抱きしめて家を出て行った。
プルルルル……
「もしもし音羽です。
ええ、………はい。
そうですけど………
はい……………
…………え?
そう、ですか……………
はい………………はい………………
失礼します」
ガチャンッ
「お母さん?」
電話を終えたお母さんの様子がおかしい。
体を震わせている。
そして、目から今にもこぼれ落ちそうな涙。
「どう、したの?」
「うぅっ……あぁっ」
こぼれ落ちた、涙。
「ああああああっ!!」
初めて見た、親の泣く姿。
「お母さん!?」
駆け寄るがお母さんは泣き続ける。
「お父さんがっ……」
「お父さんが?どうかしたの?」
震える手で私の手をぎゅっと握るお母さん。
「いなく、なっちゃった…………
しん、じゃった…………
死んじゃったのよぉ…………っ」
………………え?
しん、だ?
死んだ?
お父さんが?
目の前には泣きじゃくる母親。
いつも3人で寝ていたお布団。
見渡すと、どこもかしこも3人で暮らしていた証があって。
死んだって何?
嘘でしょ?
お母さん、何言ってるの?
あ、わかった。
嘘ついて私を騙してるんだ。
やめてよ、そういう冗談私は嫌いよ。


