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「よかった、陽葵が物分かりよくて。」

いつかの屋敷へ来るとまた、足をベッドに繋がれる。


「……」

殺るならはやく殺ってほしい。

こんな茶番いらない。

私は無心でいればいいだけだもの。

みんなと、陽炎のみんなとも天霧組のみんなと離れるのも、会えなくなるのもとても辛いけど。

それに比べたら私がいなくなる怖さの方が何倍もマシだ。



バシッ




叩かれた頬からは爪が引っかかったのか血が垂れる。



「………」

何とも思わない。


おかしいな。



痛い、とかなんかないの私。


「なに、陽葵。
つまらなくなったね。
もうあの目はしてくれないの?」


あの目……

私はどんな目をしていたの?


「………どんな目?」


烏丸を見上げると、死んだ目をしている。


………よっぽど私がつまらないんだな。


「憎しみで溢れた、目だよ」


憎しみ………か。


別に私は、烏丸を憎んだことはないけど。

そんな目をしていたのだろうか。


「………俺にじゃない。
全てのものに憎しみを当てるような目だ」


烏丸は私の思っていることがわかったかのように言う。


全てのもの……










「本当は苦しめて苦しめて殺そうとしてたけど。

つまんないから。

もう殺すわ」










烏丸はそう言って刃物をだすと私の首にそれを当てる。







そしてそれを浅く滑らすと、首から流れ落ちる血。