ヒカリのように




「陽葵ちゃん。そいつが担任。」


「はい」


「それでクラスはAクラスね。2学年」


「はい」



榊さんが説明してくれると、中山先生が腕時計を見た。


「そろそろ時間。行こう陽葵ちゃん」


そしてそう言って私に手を出した。



「…?」



「迷子になるといけないから」



……手を繋げってことか?



すると中山先生のその行動に夏目が鼻で笑った音がした。



「夏目の仕業?」


「ちげーよ」


「ほら。時間ない」


夏目をじとーっとみる私をよそに、中山先生は私の手を取り歩き始めてしまった。



「陽葵がんばれよ」


「ファイトー」


「なんかあれば何時でも来てね」



私は3人の大人に手をふられ理事長室を後にした。










「あの。手、大丈夫です」



私の意思なんて関係無しな中山先生に声をかける。


「そう?ちゃんとついてきてね。」


「はい」



するとあっさり手を離してくれた。



「陽葵ちゃん、って言ったっけ?」


「はい」


「教室に俺が呼んだら入ってくるのと一緒に入ってくるのどっちがいい?」


「えっと…」



正直どちらでもいい。

向かってくる視線の数は同じだから。


「じゃあ一緒に入ります」


…呼ばれて行くのも、面倒くさいしね。
だったら最初から入ってた方がいいか。



「ん。りょーかい。
あ、ここだよ。」



教室についたらしく、中山先生は足を止めた。



「………静かですね」


物音一つしない。



「しつけた」





………しつけ…え?


ここには犬や猫がいるという事だろうか…


私ペットと学校生活を送るのか…?



「じゃあはいるよー」



私の考えてることなど知らない中山先生はガラガラっとドアを開けて教卓の前に立った。



「おー、今日も静か。素晴らしい」



さっきまでの抜けた表情が嘘みたいに笑顔が貼られている。



「じゃあ挨拶。の前に、新しいクラスメイトがいます」


そしてそう言ってまだドアの方から動けないでいた私を見た。



そして自然に集まる私への視線。



私は中山先生の隣まで歩いた。

そしてクラスを見渡す。



赤色…青色…黄色…茶色……



カラフルな髪の色にいろんな香水だろうか?混ざった匂い。
同じ制服のはずなのにみんな違うように見える制服。



…………すごい……!




「おーい」



ぼーっと見渡していた私に中山先生が声をかける。



私ははっとして口を開いた。




「………天霧陽葵です。
よろしくお願いします」


そして今日3回目の自己紹介をして、また頭を下げた。