「俺、"その時"来たかも。」
そして家出して二ヶ月くらいたって家に帰った。
するといつもの事だけど家には誰もいなくて。
だけど、親にはわかってたのかな。
いつかは俺が帰ってくること。
俺の部屋に封筒がひとつ、置いてあった。
開けてみるとそれは手紙で。
『おかえり。父さん、あなたとの接し方がわからないだけなのよ。
許してあげて。父さんも反省してるわ。
不器用なのよ、あの人』
それだけ、お母さんの字で書いてあった。
そして封筒の中を見ると、もう1枚便箋があるのに気がつきそれも見てみると、
『すまなかった。』
って、お父さんの字で一言書いてあった。
俺は初めて、泣いた。
涙って、あったかいんだ。
そしてその時、お父さんとお母さんが丁度帰ってきたらしく、物音がした。
俺は2人のところへ行くと、2人とも泣きながら俺を抱きしめた。
そして2人で謝ってきた。
「俺、居場所ができたんだ。
しばらくそこに居たい。」
気づいたら、そう口が動いていた。
それにまた2人は泣いていた。
「2人の事が嫌になったんじゃない。
俺の気持ちの問題。
高校卒業したら、戻ってくるよ。」
留年しちゃっても、気長に待ってて。
って、笑顔を作って言ったら
「待ってるからな」
「………約束して、必ず帰ってくるって」
大の大人が泣きながら言ったんだ。
それがまたおかしくて、俺は初めて二人の前で"笑った"。