「…………家出?」
俺と同じくらいの年の男の子が、こんな夜中に俺と同じようにふらふらしてた。
……いや、俺とは違った。
その子は手にコンビニの袋をぶら下げていて、どこかへ帰る様子だった。
「なにしてんの?君こそ」
俺は声をかけ返した。
「俺はこれからお泊まりなんだ」
そしてその子はそう言ってコンビニ袋を少しあげる。
お菓子でも、入っているのだろうか。
「君は家出?」
そしてもう一度俺に聞いた。
「………家出って言うか、追い出された?」
俺は笑顔で言った。
「ふーん。来れば?」
するとその子はそう言って歩き始めた。
「は?何言ってるの?」
わけがわからない。
見ず知らずの俺に何言ってんだか。
「俺も同じだったから。
その時にこうして声かけてくれたやつがいるんだ」
その子はそう言って、俺にコンビニの袋を持たせた。
「行くよ。どーせ行くとこないんでしょ」
そして俺の手をとると、歩いた。
「……君、馬鹿だね」
俺がそう言うとその子はクスリと笑った。
「俺、陸って言うんだ。お前は?」
「………佑」
「佑、きっとみんな歓迎してくれるよ」
そうして俺は、陸と出会って陽炎へ行った。


