『頭を冷やせ!』 そう言ってお父さんは俺を家から出した。 お母さんは、仕事でたまたまその場にいなくて。 ………いても何か変わったわけじゃないか。 俺は夜中に外に出されて。 こんなこと初めてで、どうすればいいかわからなくて。 涙も出なくて。 むしろ俺は、笑顔を作っていたことに気づいた。 「ごめんなさい、お父様」 俺の言葉は、誰にも拾われなかった。 ふらふらと、行くあてもなく歩いて歩いて歩いていた時。