俺の親はね、会社経営してるんだ。

結構、大手の企業。

橘財閥なんて言われたりして。

俺が生まれた時からもう。


父さんが社長で、母さんが副社長として。


だから、忙しくて家に親がいないのは当たり前。


それが当たり前だったから、俺は何も不思議に思わなかった。



だけど、時々思うんだ。



俺がもし、この家に生まれていなかったらって。



親が社長だと、家にお偉い人を呼ぶことも少なくなかった。



その度に俺は笑顔を作って、親の望む将来有望な息子を演じていた。