「………俺の親はね、会社経営してるんだ」
気づいたら、口にしていた。
「………え?」
ほら、困ってる。
「なんでもなーい。気にしないで。ごめんね」
いつものように笑顔を貼り付ける。
「…もう、笑顔なんて無理にしなくていいよ」
けど陽葵ちゃんは、そう言って俺の顔に手を伸ばす。
「え?」
訳が分からない。
「笑顔って、無理にするものじゃないよ。」
そして陽葵ちゃんはそう言って、「佑の本当の笑顔が好き」と呟いた。
嗚呼、なんだ。
この子には全部お見通しだったのか。
「………教えてくれる?佑の、事」
陽葵ちゃんはそう探りながら言った。
「……………もちろん、」
そして俺は、彼女に話してみようと思ったんだ。


