たった2年前のこと、こんな風に話すやついるか?って感じで。
でもすぐその理由はわかったよ。
この、陽炎って場所があったかいんだ。
あったかくてあったかくて。
昴の心を溶かすのには十分だった。
そしてそれに自分もはいってるんだって思うと俺もなんだか嬉しくて。
だから俺は、俺を救ってくれた昴。当時の総長。
陽炎。
ココを支えたいって思ったんだ。
そして、陽葵。
陽葵が現れて、昴は変わったよ。
もちろんいい方に。
だから俺は、嬉しいんだ。
「ありがとな、昴と出会ってくれて。」
俺がそう話し終えると、陽葵は涙ぐんでいた。
「何泣いてんだよ」
「泣いてない」
今にも涙が溢れだしそうな顔でいう陽葵。
……まったく。
俺は陽葵の頭をがしがしと撫でるとぎゅっと抱きしめた。
「誰も見てないからはやく泣きやめ。」
「泣いて、ないってば」
………強がり。
「陸、話してくれて…」
「独り言だ」
陽葵の言葉に被せて言う。
あくまで独り言。
自分から話すなんて、いままでの俺じゃ考えらんねぇからなんか恥ずかしいんだよ。
「…独り言聞いてごめん。だけどありがとう。
私、陸ってよくわからないって思ってたけど一番わかりやすいかもね」
陽葵はそう言って俺から頭を離すと、力なく笑った。
………昴、お前が好きになる理由もわかるよ。
「……うるせぇよ」
そう言って陽葵をもう一度ぎゅっと抱きしめるとドアが開いた。
「あ………」
「……お邪魔だった?」
「……」
佑に凪に昴。
こんなタイミングで帰ってくんなよ。
「別に」
俺がそう言って離れると、涙はピタリと止まっている陽葵。
………お前もわかりやすいよ。
side end