「俺の事なんて、ほっとけばいいだろ!!」
1度だけ、両親に叫んだことがある。
あの時の二人の顔は今でも忘れない。
困ったような、悲しいような、そんな表情。
そして俺は家を飛び出した。
走って走って、走った時。
高校生くらいの男に囲まれて、楽しそうにしている奴を見たんだ。
…………昴だ。
俺は9歳、昴も10歳の時だった。
夜だったから、あちらから俺の姿は見えてはいないと思ったのに、昴は俺に気がついた。
そして、その高校生くらいの男をおいて俺のところへ来た。
「なにしてんの?」
「……………家出」
「ふーん。俺のとこ来れば?」
「……は?」
正直、こいつはバカかって思った。
見ず知らずの、ましてや初めて見るやつを自分のところへ来るか?って。
だけどすぐにわかった。
「……来るの?来ないの?」
こいつのいるところは楽しいところだって。
「……いく」
俺がそう言うと昴は嬉しそうに笑い、さっきの男らのところへ行って俺を紹介してくれた。
「昴、友達出来たのか?」
「ああ!」
"友達"
その単語に胸が弾んだ。


