「ほら陽葵。
荷物」
車が動き出すと、樹さんが私に鞄を渡してくれた。
「ありがとうございます。
……軽」
鞄を開けてみると、中には携帯と財布と…必要最低限のものしか入っていなかった。
さっき教材もあるって…
「重いし、陽葵には必要ないかって思って。」
樹さん、笑顔が眩しいです。
「…ありがとうございます」
「陽葵、帰り迎えにいくから。
そんでマンションまで送ってく」
「ん。ありがと」
夏目はそう言って「もうすぐ着くぞー」と車を止めた。
あ。朝ごはん食べるの忘れてた。
……まぁいいか。
「陽葵行こう」
樹さんはそう言って車から降りると私が降りるのを待っててくれた。
「はい」
私が車から出たのをみた夏目も車から降りて鍵をかけると一緒に歩き始めた。
「……あの」
「ん?」
「あ?」
「……一緒に行くんですか?」
3人並んで歩いていることに疑問を持つ。
「当たり前だよ。一応保護者」
「理事長に挨拶しなきゃなんねーからな」
「……そうか」
だからって2人で……
「手、離そう?」
私の手を繋がなくても。
3人並んで歩くのは許そう。
けど、私も一応高校生。
流石に手を繋いで歩くほどの歳ではない。
しかも二人に挟まれているから両手。
おかしくない?
「ああ。ごめんつい」
樹さん……
「うっかり」
夏目……
「私もう子供じゃないよ」
二人が手を離すと私はそう言った。
その言葉に、2人が眉を下げたのは私は気づかなかった。


