「とーちゃーっく」
凪はそう言ってなんだか楽しそうにバイクをしまいに行った。
「なんかあったの?凪」
「さぁ?」
佑の言葉に首を傾げる。
「陽葵」
「あ。ありがと」
陸が私に手を貸してくれてバイクを降りる。
にしても、この放課後は倉庫っていう日課。
なんだか変なの。
今までの私には想像もつかなかった。
学校に行くってことさえ想像つかなかったのに、その上みんなと出会って友達になるなんて…
人生なにがあるか分からない。
ぼけーっと倉庫を眺めていると、みんなより一足先にバイクを置きに行っていた昴が私の隣に来た。
「どうした?」
「…自分が今、ここにいるのが不思議だなって」
「……そうか」
昴はそれだけ言うと、私の背中を優しく押して倉庫に入らせた。
「あ、陽葵ちゃん来た。
外で何してたの?」
「ぼーっとしてた」
私の言葉にみんなの頭には"?"が浮かんでいたが、私は構わずみんなの背中をぐいっと押した。
「え?陽葵ちゃん?」
「どうしたの?」
「外寒いよっ」
私は少し、口角をあげて言うと、みんなはなんだか嬉しそうにして私の頭を撫でた。
「ちょっ……」
みんなで撫でないでよ、前が見えない。


