そんな時だ、そんな時。
陽炎の倉庫を見つけた。
そこはいつも楽しそうな声がして、静かな時なんてなかった。
はじめは学校の帰りに少しだけその声を聞いてるだけだった。
聞いていたら、自分が1人なのを忘れられる気がして。
けどだんだん欲張りになってって……
この中に、入りたいと思った。
その想いが溢れて、俺は施設を夜中に抜け出し陽炎の倉庫へ行っていた。
そんな生活をしていた時だ。
拾われた。
『お前、最近よく見るな』
不思議と怖さはなかった。
『来るか?』
俺はきっとその言葉を、待っていたんだ。
頷くと、『そうか』と俺の頭を力強く撫でてくれた手は、今も忘れない。


