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「じゃあ、そうと決まったらみんなに紹介しに行こう」

涙が止まり、目の赤みも引いてきた時に佑が言った。

「みんな?」

「うん。ほら、来た時にいた奴らだよ。
俺らの仲間」

凪は私に冷えたペットボトルを渡しながら言う。

私はそれを目元に当てた。


仲間、か……

私が組の人を大切に思う気持ちと、一緒なのだろうか。仲間というのは。

それか、それよりももっと……


「もう暗いしね。みんなが帰る前に」


佑はそう言って私の手をもち、立たせてくれた。

「よし。行くよ」

「……わかった」

すると後ろから、昴が来て私と佑の手を払うと私の腰をもった。


手、長。



「行くぞ」


「……ん」



ガチャ……





「みんなー、ちょっと話したいことがあるから集まってー」


凪の大きな声、初めて聞く。



そしてその声で騒がしかったこの空間はピタリとなくなり、注目がこちらに集まった。


「……今日から、俺らで守る」


昴はそれだけ言うと、私の背中を押して一歩前に立たせた。



ちらりとみんなを見ると、笑っていた。



……なにか、言わなきゃ。


「えっと……天霧、陽葵です……」


目が泳ぐ。みんなが見てる。

ええい。
言ってしまえ。


「わ、私なんて、急に来てなんだって思ってる人がたくさんいると思うんですけど……
私は守られるとか、守るとかそんなのなしで。
みなさんと、仲良くなれたらそれだけで幸せです」


ぎゅっと目を瞑って早口で言った。

……聞き取れただろうか?



うっすらと目を開けてみると、そこには笑顔が広がっていて。


それにまた感動して。



「陽葵さん、俺ら守りますよ!」


「是非、仲良くしてください!」


「素敵な方です!」



口々に言う彼らは、輝いていた。


「陽葵でいいですよ」


それにまた、涙がこぼれた。