ーーー

「ねぇなんで。」

「……早く降りろ」

昴……

「ねぇなんで。」

「最終手段だよ」

陸……

なんで私は今、大きな倉庫の前にいるんだろう。
なんとなく、予想はつくが。
というか、なんで彼らはこんな場所を手に入れたのだろう。

「………ん」


まだぼーっとバイクに跨っている私を昴は軽々と持ち上げた。

「わっ、ちょっと…降ろしてよ…」

「………逃げるだろ」

……当たり前でしょう。

それにいつだが、無理強いはしないって。

言ってなかったっけ?
これは無理強いじゃないの?

「カバンは持ったから安心して」

凪………


「ごめんね陽葵ちゃん。
もうこれしか方法なかったんだ。」

佑……
まぁ確かに、バイクに乗せてもらってるからここへ連れてくるのは簡単だよね。

「行くぞ」


そして私は昴に担がれたままその倉庫に入っていった。



『ちはーっ!!!』


すると中から威勢のいい声が。


……こんにちは、って事だろうね。


やっぱり総長とか、偉いんだ。

そしてここが、輝のいた場所か。

担がれながら少しあたりを見渡す。



「………」



雰囲気は、悪くない。
きっと輝はここにいて幸せだったんだと思う。
高校生活楽しくないと言っていたが、きっとトータルして楽しくなかった事の方が多いだけで、本当は楽しい事もたくさんあったんじゃないかな。
そうじゃなきゃ、高校の時の話をしている時あんなに楽しそうな顔はしない。