私は溢れる涙を抑えながらゆっくりゆっくりスマイルへと歩みを進めていく。

「スマイルなの?本当に。」

私はスマイルの前まで行くとそうスマイルに聞いた。
堪えていた涙も止まることなく溢れでてきてどうしようもなかった。
スマイルに会えただけでも驚きなのに更に驚く事が起こった。

「久しぶり!ご主人様!」

どうやらこの場所では犬と会話が出来るら しい。
まぁ会話と言ってもスマイルが実際に口を動かして話すわけではなく頭の中で声が聞こえる、テレパシーみたいな感じだ。
不思議に思いつつスマイルを見つめていると聞きたいことが通じたのかスマイルがまた話し出した。

「ここは光の国だよ。ご主人様が会いに来てくれるのをずっと待ってたんだ!」

光の国、、、。
私はここでやっと前に聞いた二人の女子高生の会話を思い出した。
しかし、と言うことはやっぱり、、、。

「私は死んだの?」

スマイルに聞いてみた。
スマイルは少し悲しそうな顔をして、今までの事を教えてくれた。

「僕は、僕が死んでからずっとご主人様の事をここから見ていたんだ。
それでご主人様はゴールデンレトリバーを助けようとしてトラックの前に飛び出した。」

そうだ、そこまでは私も思い出した。
飛び出した後、光の国につくまでの記憶がない。
スマイルはゆっくり話を続ける。

「ご主人様が助けようとしたゴールデンレトリバーはご主人様が盾となったことで助かったんだ。
無事に女の子のところへ帰ったよ。」

その事をきいて、私は安心した。
素直に嬉しかった。
スマイルみたいに事故で命を落としそうだった犬を助けることができ、私みたいに大雪なペットを失い泣くはずだった女の子が笑顔になれたんだと。そう思ったからだ。
それと同時に「あぁ、私は死んだのか。」とも思った。
スマイルは私の顔を一瞬みてまた反らし、話出した。

「ご主人様は死んでないよ。まだ、だけどね。」

「え?光の国にいるのに私はまだ死んでないの?」

スマイルの言葉を聞き、咄嗟に驚いてしまった。

「うん、ご主人様は今、死ぬか生きるかの所にいるんだ。光の国は生と死の狭間にあるから来れたんだと思う。
でも、このままここにいたらご主人様は本当に死んでしまう。
だからご主人様は早くもとの世界に帰らないと行けないんだ。」

スマイルはそう言い終わると、私の方を向き背筋を伸ばした。