「やっと、思い出してくれた」
そう、言ってとても優しく笑って
私を抱きしめる力を強めたヒロくん
だから、私はこの腕が大好きで落ち着くんだと思う
あの日、私を救ってくれたこの腕だからこそ
「桜、あの後一時的な記憶喪失になって、
雨の日の記憶の1部が消えてたんだ」
耳元で聞こえるヒロくんの言葉
記憶喪失ってほんとにあるんだ
なんて、思っていた
ヒロくんといつから幼馴染みなの?って聞かれても覚えていないくらい昔から私の隣にはいつだってヒロくんがいた
だからあの日も、もちろんヒロくんが傍にいた
なのに、どうして忘れてたんだろう
それはあまりにも残酷な出来事だったから?


