「あ…これ無くしたと思ってたヤツ…ありがと」


そう言うと、ふにゃっと笑う詩乃。そして、戻ろうとした詩乃を思わず呼び止めた。


「今日から一緒に帰るから」


これは苦し紛れに出した言葉。少しくらい揺れてもいい。


なのに、詩乃はここぞとばかりに否定して、俺の言葉を待つ事もなく逃げていった。


あいつっ……!


やっぱり俺の頭の中は詩乃でいっぱいだった。多分これは…



恋ってやつ。





いや、今更すぎるけど。ずっと前から知ってたし…