「え…でも……」
「遊。…これから遊って呼んで」
私を真っ直ぐ見つめる彼の目は何処か寂しそうな、そんな悲しい目をしていた。
「ゆ、う……」
名前を呼ぶと、彼は満足そうに笑って私から離れた。
「ほら、いくよ。詩乃」
そう言ってぎゅっと私の手を握った。それはまるで、離さないと言うように強く…でも優しく握られた。
「……そう言えば、たち……じゃなくて遊…はどうして私の名前を?」
「ほんとに馬鹿だね。あんたの学生証を拾ったのは誰だと思ってんの?学生証の名前書いてるでしょ。それにあんたの飼い主だし?」
はぁ、と呆れたようにため息をつかれた。そこでやっと気がついた。
た、確かに………
「忘れてました…って言うか、最後の飼い主っての私認めてませんからねー!?」
