どこまでも完璧な人だった。確かにお礼をする、と言った私にそう言ってしまえば逃げられないことを知っている。


「で、でも……」



「ふーん、あんたはお礼もできない人なんだ」



中々はい、を言わない私を煽るように喋る王子様。言葉を巧みに操っている。



この人全然王子様なんかじゃないよ〜!!綺麗な顔した悪魔だよ〜!



お礼もできない人、なんて言われたら私が躊躇ってしまうのをこの人は知っていた。