そう言うと、遊は優しく微笑んで涙を拭ってくれた。


「はは、なんで詩乃が泣いてるの。それに俺が言いたいことはこんな悲しい事じゃないんだ」


空いっぱいに煌めく星を背に、遊が笑った。


「俺が今こんなに楽しいのは全部、詩乃のおかげって言いたかったんだけど」


「え……?」


「詩乃といると、あの1人の家も寂しくなくなるし…詩乃といるとなんか、安心する」


「そんなこと…ないよ」


そんなふうに思ってたの…?


溢れ出る涙が頬を伝って地面に染みる。
遊はポケットから何かを取り出して見せた。それは、何時だか遊に届けたことのあるお守り。


「これはね、死んだ母さんが持ってたものなんだ。俺が生まれた時に神社で貰ったらしい」