子供のように、脳内で20数えてから私は温泉を出た。暖簾を潜って廊下にでると、遊と鉢合わせた。
「あれ、遊…」
「詩乃も風呂きてたんだ」
「へ、うん。ちょっと熱かったかな…」
そう言うと、遊は向かいにある自動販売機でお茶を買って私に差し出した。
「これ、飲めば?」
「…!…いいの?」
「今日頑張ったご褒美。……ねぇ、ちょっと外に出ない?」
ペットボトルを私に押し付けて、また、手を引いて外へ向かった。
外に出ると、空いっぱいの星が出迎えてくれた。
「わぁ……綺麗」
「詩乃、少しだけ……俺の話…聞いてくれる?」
綺麗な星に感動していると、遊が真面目な表情をして私と向き合った。