奥まで入っていつものように座るとお弁当を広げた。今はこの静かな空間が心地よかった。…が、カラカラとドアが開く音がして静かな空間は破られた。


誰か来る……っ


急いでお弁当を片付け近くの本棚に隠れると、息を潜めた。


「詩乃……」


その言葉にドキンっと胸が鳴った。


この声は……この、声は……っ!


久しぶりに私の名前を呼ぶ声は、心做しか寂しそうに聞こえた。


気になって本棚から覗くと、そこにはもう遊の姿はなかった。


なんで私の名前……遊も…来てたの?もう…わかんないよ……


今日もまた、1日ずっともやもやしっぱなしだった。